「今晩こそ、どうする?」
「さすがに野宿かな…」
「24時間営業のマックとかねーかな」
「あ〜…誰かに聞いてみる?」
「つっても…誰も歩いてねー…」
田宮と大西がなんの話をしているかと言いますと、エリカ宅でお夕飯をいただいたまでは良かったんですが、「結婚するc(>ω<)ゞ」発言でさすがのお父さんも大激怒、父と絶対にゆずらないというエリカが肉弾戦になった隙にナミさんがお家から逃がしてくれたのでした。
そうして田舎の住宅街を歩く事30分、かろうじて田んぼやあぜ道は見当たらない物の、時間が時間だけに誰も歩いてません。
「とりあえず…人に会うまで歩くしかねーか。てか、新幹線の駅まで歩いてく?」
と、そのとき後方から光が。振り返ると一台のミニバン。
二人の横に徐行して止まりウインドウからナミが顔を出す。
「田宮君、大西君、乗って」
後ろの窓からひょいと顔を出し
「ダーリン♪エリカもいるよo(*^▽^*)o」
「う。」
田宮を引きずり込む。
ナミさんの運転する小さな軽の助手席には大西、後ろにはエリカと田宮とでかい荷物。
田宮もエリカも肉付きは普通ですがぎっちぎち。
「ごめんね、お父さん、エリカのこととなると見境無くなっちゃって。末っ子だからかな、いっつもああなるの。気にしないでね」
「いえいえ、とんでもないっす。」
「こんな時間に追い出されても行くとこないよね。」
「エリカ、こっちに出来たスーパー銭湯まだ行ってないからそこ行きたいσ(・・*)」
「ああ、あそこなら24時間やってるね。」
「…あの、ナミさん、俺も大西も帰りの新幹線代がギリくらいしか金無いんですけど…」
「エリカがパパの財布からギって来たから、ダーリンはお金の心配しなくていいよ(^▽^)/」
「…家庭内おいはぎ…」
「なんか言った?てかお前誰だよ(▼O▼メ)」
「す、すいません。なんも言ってないです。お、大西です…」
「ふんっ( ̄へ  ̄ 凸」
後部座席のロリータファッションの女が助手席の大男にメンチ切るという迫力のシーンを狭い車内で展開しつつ、車は無事スーパー銭湯へ。


「じゃあね、ダーリン。お風呂上がったら一緒にコーヒー牛乳飲もうね☆ヽ(▽⌒)」
「はい…」
「じゃ、上がったら漫画コーナーでね」
「了解です!」
なんて会話をかわしつつ、それぞれ男湯、女湯へ。
男湯脱衣所にて。
「は〜……」
「ため息なんて珍しいじゃん。ま〜エリカちゃんのあのキャラの濃さはちっと引くけど」
「…お前…。ほんっと今日一日俺で楽しんでたよな?!信じらんねえ」
「声でけーよ。」
「でかくもなるわ。俺をさんざんもてあそびやがって。」
「いや〜だって、おもしろすぎんだもん。」
「あーもーやだ、こいつ。早く帰りてえ……って鍵もねーんだよな〜あ〜くそ〜」
なんて言ってる間に大西はさっさと脱ぎ終え先に大浴場へ。
もたもた田宮が脱いでると、背中になんとなく視線を感じる。視線の先をたどると…もちろん男湯ですから男が。中年手前くらいのタッパのあるおっさん。
(なんだろ、うるさかったからムカついてんのかな…)
悪いな〜と思ったので一応会釈してみたら、笑顔が帰って来たので一安心。
脱ぎ終え大西を追って大浴場へ行き、壁に並列されている洗面台へ向う。大西はすでに湯船につかっている。
(あいつちゃんと体洗ったのかよ、汚ねえな)
なんて思いつつ視線を送っていると、隣の洗面台にさっきのおっさんが来て話しかけて来た。
「彼氏?」
「は?」
「や、あのおっきい男」
「?…は?大西?」
「違うんか、良かったわ」
とまたニコニコされる。
(なんだ?)
「お前、なまりがないのお。どっから来たんか?」
「あ、えっと、東京です。」
「ほーーー、俺も昔行っとったわ。お前学生なん?」
「あ、はい。」
「ええのお…肌もピチピチやな。ちょっと触らせえ」
「いいですけど…男の肌触っても…」
(田舎の人って人懐っこいのな〜)なんて思いながら腕を差し出してみたが…なんか長い。ぞわぞわする。
「え、えーっと、そろそろいいっすか」
「おーすまんすまん。気持ちええ肌じゃけ、止まらんかったわ」
(こ、この人変わってんな〜…いつまでも若くいたい願望か?)
ひとまず体を洗い終え、大西のいる湯船へ向う。
「地元の人とちょっと話した」
「へえ?」
「んでなんか知らんが肌触らせてくれ〜とか言われてさ」
「は?」
「いや、そこの…あそこにいる、おっさん」
「お前…、それ、ぶふっ!!」
「なんで笑う!?」
「いや〜〜〜〜〜、人気者だなあ田宮君は。うらやましいぜ〜」
「全然羨ましそうじゃねえし。てかなんだよ、なんで笑うんだよ」
「いやあ、はははははっ。ま、背後に気をつけろよ。ぐふーっ」
と散々笑った大西は見かけに似合わず長風呂好きのため、ほうっておいて先にあがった田宮。服を一通り着たところでポンと肩を叩かれ振り返るとさっきのおっさん。
「なあ、兄ちゃん。金いらんか?」
「はぁ」
「ちょっとした仕事頼みたいんやけど」
「バイトっすか?」
「そうじゃ。3万は出すぞ。兄ちゃんの頑張り次第で上乗せもするし」
「3万…(あったらアパートの鍵修理できる!!)」
「仕事はまあ簡単じゃけえ、そうやなあ、ジェットコースターに乗るようなもんじゃ」
「乗る?って運転とかっすか?俺免許無いっすけど…」
「ええ、ええ、免許無くてもできる。やからちょっと付いて来ぃ」
「今から…?え、えーっと」
「ええけえ、ええけえ」
そんな感じでどこかへ連れて行かれる田宮。
一方、大西はジェットバスででっかい体を癒し中。女性陣は女湯で地元の友達に会って談笑中。


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